『がんばれ、最年長』
「聞いてませんでしたよ、ミス・スメラギ!」
通信機にむかって叫ぶロックオン。スメラギはのんきに『あらあら』などと言っている。
「アレルヤはぶっ倒れちまうし、刹那はわけ分かんなそうに全裸でうろつくし・・・どーゆー教育してきたんですか!?」
『カウンセラーや医療スタッフを除けば、私くらいとしか接しなかったからかしら。そこまで自分の性に無頓着だとは思わなかったわ』
「なにのんきな事言ってんですか・・・」
疲れたように息を吐くロックオン。つい先ほどアレルヤの叫びにより判明した事実は、ロックオンを疲弊させるには十分すぎるほどのものだ。
『あ、ちなみにそれを理由に、この生活が打ち切りってことはないから』
「刹那は女の子なんですよ! 男供と一緒に生活させる気ですか!?」
『あら、まさかまだ12歳の子供に欲情する気?』
スメラギの指摘にロックオンは言葉を詰まらせた。20歳の男のプライドにかけて、断じて刹那をそーゆー対象としてみることはない。だが、それを言うとこのしたたかな女性が『だったら問題ないじゃない』と言うのは明らかなこと。
それに、なんだが先ほどから下の階からティエリアの怒号やドタバタと走り回るような音が聞こえてくる。気のせいにしたい。ものすごく気のせいにしたい。
『ま、がんばりなさいな。子育てに苦労はつきものよ。何かあったらまた連絡しなさい』
スメラギにもその音は聞こえているのか、からかうような笑みを浮かべているのが憎らしい。
とりあえず、疲れた声で「了解」と言って通信を遮断すると、何らかの騒動がおきているだろう一階へと足を向けたのであった。