『お出かけ』








 「あ、駄目だコレ」


 冷蔵庫を覗き込んでいたロックオンの呟きに部屋に入ってきたアレルヤが「こっちもです」と同意した。


 「食料があんまり用意されていない。4人もいるんだ。あっという間になくなるぞ」


 「お皿とかもあんまりありませんし、石鹸とか、トイレットペーパーとか、消耗品もないと困りますし」


 「こりゃ買い出し行かないと駄目だな」


 お手上げ、という風に両手を挙げるロックオン。ティエリアと刹那は興味がないと言わんばかりにそれぞれのしたいことを行っている。


 その様子にため息をついたロックオンは、アレルヤと協力して買い物リストを作り上げた。


 「つーわけで、買い出し行くぞー」


 「わー」とのってくれたのはアレルヤだけ。残り二人は沈黙。


 うわ、気まずい。


 「お前らな、少しはのってくれよ。俺すっげぇ空しいけど」


 「無駄な事柄に時間を割きたくない」


 「・・・・・」


 そっけないティエリアとは反対に、刹那は無表情のまま首をかしげた。


 「刹那は何か欲しいものとかある? 今からそれを買いに行くんだよ」


 「・・・・・」


 ないらしい。首をかしげたまま微動だにしない刹那に、苦笑するアレルヤ。そこに助け舟を出したのはロックオン。


 「あ、じゃあ刹那、今夜食べたいものあるか?」


 「食べたい・・・・もの?」


 「ああ。好きなもんとか、ないのか?」


 ニカッと笑いかけると、刹那は少し考え込んだ後。


 「ガリーエ・マーヒー」


 「・・・・・何だ、それ?」


 さすがのロックオンも、中東の食べ物については知らなかった。


 「・・・・アレルヤ、知ってるか?」


 「ぜんぜん分からないです」


 顔を見合わせて相談する二人。見たことがないものを作るのはとても難しいし、失敗したら刹那との絆に溝が生まれかねない。


 「ガリーエ・マーヒーとは簡単に言うと魚が入ったシチューのようなものだ。そうだろう、刹那?」


 「・・・・たぶん」


 意外な人物からの手助けに驚く二人をよそに、ガリーエ・マーヒーについてぼそぼそと話している刹那とティエリア。


 「ティエリア、お前作り方とかわかるのか!?」


 「以前文献で読んだ事がある」


 無駄にえらそうな答えにロックオンはガッツポーズをした。すぐさま買い物リストに材料を書き加えると、刹那とティエリアを立ちあがらせる。


 「よし、今から全員で買い物行くぞー」


 「な、なんで僕まで!?」


 「だってティエリアしか材料知らないんだから。ほら、刹那行こう」


 「・・・・・」


 ぎゃーぎゃーと文句を言うティエリアを軽くあしらうロックオン。「それっておいしいの?」「・・・それなりに」と和やかに会話する刹那とアレルヤ。




 それはまるで、どこかの家族のような賑やかさで。








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