『看病』
「だぁぁぁー。お前ら遊んでないで手伝えー!!」
いそいそとスコップで雪かきに勤しんでいたロックオンはきゃっきゃと遊んでいる子供's に叫んだ。雪が珍しいらしい刹那にアレルヤがせっせと雪ダルマを作っている。傍目から観たらものすごくほのぼのした光景だ。
「そうだぞ、お前たち。ロックオンが雪かきし終えないと夕飯を作らせることができないじゃないか」
さりげなくロックオン=奴隷発言をしているティエリアの足元には可愛らしい雪ウサギ。どうやら彼もまた刹那のために作っていたらしい。
ダメだ。自分以外に頼れる奴はいない。ロックオンはしみじみと思った。
「ああああああああ! ロックオン、逃げてくださいっ!」
必死で邪魔な雪を川に捨てていたロックオンは疲れた顔で後ろを振り返った。そこには、アレルヤが刹那のために作ったのだろう雪ダルマの頭がものすごい勢いでこちらに転がってきていた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
静かな街にそれは悲しい男の悲鳴と水音が響きわたった。
「38度・・・きっと風邪ですね」
「・・・・誰のせいだと思って・・・」
ロックオンは。
雪ダルマの頭と共に川に落っこちたロックオンは。
見事に熱を出して寝込んでいた。
ひ●ピタや氷枕などを整えたアレルヤは苦笑した。
「今日一日ゆっくり休めばきっと治りますよ」
「わりーな、アレルヤ」
「いいですよ。もうすぐおかゆが出来るらしいですから、ちょっと待っててください」
「・・・・らしい?」
アレルヤの言葉に甘えて眠ろうとしていたロックオンは、その台詞にものすごく嫌な予感を感じた。
「ええ。ティエリアと刹那がおかゆを作るんだって張り切ってましたよ」
さようなら、短かった俺の休息よ!
「ア、アレルヤ・・・・・奴らに包丁の類を持たせるなって・・・」
「いや、さすがにおかゆぐらいだったら作れるんじゃないですか・・・?」
アレルヤが自信なさげにそう答えた瞬間、どこからか爆発音が聞こえてきた。
「後は・・任せた・・ぞ」
「ちょ、こんな状況を押し付けないでください!」
ロックオンは病人の特権をフルに使って寝てしまった。アレルヤは意を決すると爆発音が聞こえた場所(おそらくキッチン)へと走った。
『ティエリア、刹那、何しているのー!?』
『おかゆ作り?』
『刹那、疑問系にするな。僕たちはおかゆを作っているんだ』
『だがティエリア、俺が昔見たおかゆは爆発しなかたぞ?』
『作る過程で爆発する料理なんてないからね!』
聞こえてきた叫び声を無視するために、ロックオンは頭から毛布をかぶった。
次の日、気力で復活したロックオンが見たのは、ボロボロになっているキッチンと疲れ果てて灰になっているアレルヤだった。