プルルル、と俺の通信端末が着信を告げた。寝惚け眼で時刻を確認すれば、まだ朝の八時だ。久しぶりのオフだっていうのに、こんな朝っぱらから一体誰だ・・・・
『俺だ』
「・・・・は?」
『どうせこんな朝っぱらから一体誰だとか思っていたのだろう?』
エスパーか何かですか。呆然とする俺なんて気にも留めず、刹那は『暇だ』とのたまった。
『どこか暇をつぶせるところに行って、甘いものが食べたい』
「えーと・・・俺今起きたばっかなんだけど」
『奇遇だな。俺もさっき起きたばかりだ』
だからなんだと言わんばかりの刹那。うん、誰かこの人に常識を教えてあげて。
『どうせ今日一日ごろごろして過ごすつもりだったのだろう? だったら俺に付き合え』
「俺、昨日ミッション終えたばっかで疲れてんだけど・・・・」
『そんなもの、疲れているの内に入らない。美味い中華料理が食べたい。青椒牛肉とか酢豚とか。あ、酢豚はパイナップルが入っていないやつがいい』
「・・・・俺に連れていけってか?」
『他に誰がいる?』
「でもお前今宇宙だろー。今から地球に降り立って、時間が足りないな。オフが今日だけだし。あー残念だったな。また今度時間がある時に連れてってやるから。俺のおごりで」
だから今日は諦めろと言おうとした時だった。
『時間があればいいのだろう?』
勝ち誇ったような刹那の声に、俺は嫌な予感がした。
『だったら何も問題はない』
あぁ、数秒前に戻れたらいいのに。時間がある時に連れてってやるなんて安請け合いした過去の俺を殴りたい。
『「今すぐ行くぞ、ライル・ディランディ」』
バタン、と部屋の扉が開かれた。そこには携帯端末片手に微笑んでいる刹那が立っていた。
「・・・・え?」
「まずは暇つぶしだな。最近この辺りに大規模なテーマパークが出来たらしい。一度行ってみたかったんだ。昼食は中華だから、夜は和食がいいな。昔、沙慈・クロスロードが作っていた筑前煮が食べたい。おい、なにをぼさっとしているんだ。早く着替えて行くぞ」
「・・・・・・りょーかい」
我侭プリンセスの休日
お題はイデアさんよりお借りしました。