同族を殺した。


 引き金を引いたのが俺なのかアレルヤなのか分からなかったが、それでも殺したことには変わりはない。







 ウジウジしているアレルヤを押し込んで外に出た。出たからといってやることもねぇし・・・・・どうするか。


 『やめてぇ!! 殺さないで!』


 『いや・・いや、死にたくない!!』


 『助け・・て』


 頭の中に響いてくる声。やめろ、やめろ、やめろ!! 


 「ハレルヤ?」


 今まで聞こえていた耳障りな叫びが消えた。振り返ると、刹那が立っていた。


 「なんだ、刹那。お前も明日ミッションだろ? さっさと」


 「何があった、ハレルヤ?」


 真剣な瞳で俺を見てくる刹那に、俺は一瞬言葉に詰まった。


 「何もねぇよ」


 「嘘だ。アレルヤもハレルヤも、泣きそうな顔している」


 俺が泣く? 腰抜けのアレルヤじゃあるまいし、そんなことあるわけがない。


 刹那は固まっている俺の頬に触れた。


 「・・・・・話したくないなら、訊かない。だけど、一人で抱え込もうとするな。そんな、泣きそうな顔をするな」


 気付けば、刹那の細い身体を抱きしめていた。刹那も抵抗することなく、首筋にうずめた俺の頭を優しく撫でた。


 触れた身体は柔らかくて細くて・・・・こんなナリでも、女なだな、こいつ。


 「ハレルヤ」


 刹那が俺を呼んだ。その声がひどく心地よかった。






 なぁ、アレルヤ。俺はテメェのエゴから生まれたんだ。テメェの、生きたいくせに殺したくない、そんな自分勝手な考えから生まれたんだ。だから俺は姿も能力もお前と同じなんだろうな。


 だけど。


 この感情だけは、俺だけのものだ。