「刹那は俺と出かけるんだ!邪魔するな!!」


 「違う!僕と出かけるの!君こそ邪魔しないで!!」


 「…………はぁ…」


 刹那の目の前で繰り広げられる双子の兄ーティエリアとリジェネの争い


 争いの原因である刹那は、毎度のこの争いに溜め息を吐いた











 ティエリアとリジェネ、そして刹那は兄妹である


 兄妹と言ってもティエリアとリジェネは双子で、刹那は双子の父と再婚した母の連れ子だった


 双子の母も刹那の父も不幸な事故で亡くなり、その後は運命の巡り合わせで今の家族になった


 現在の両親も三人を隔てなく可愛がっていて、世間から見ればとても幸せな家庭だろう 


 そんな家庭で恒例になりつつある光景が、双子の兄ーティエリアとリジェネによる妹刹那の争奪戦だった


 義兄妹になった日から、可愛い妹を取り合い日々争うティエリア達


 本来は仲の良い双子だが、刹那は別だった


 溺愛する可愛い妹を独り占めしたいティエリアとリジェネは、何かあればお互い牽制し火花を散らす


 今も明日の休日に二人きりで出掛けたくて、刹那の目の前で争奪戦を繰り広げているのだ


 「あ〜もう!君は兄に譲るっていう気持ちは無いの!」


 「ふっ…そう言うならたまには弟の俺に譲っても良いんじゃないか?お兄ちゃん?」


 「〜〜〜っ気持ち悪いから“お兄ちゃん”なんて呼ぶな!可愛い可愛い刹那ならまだしも、君みたいな鬼畜ツンデレが…」


 「誰が鬼畜ツンデレだ!このドSオネェ野郎!!」


 「なんですってぇ!コイツ、人が気にしてる事を…!」


 「ふん、やるのかオカマ?」


 「テメェだって、僕と同じ顔ならオカマだろうが!!」 


 「なんだと、この…「ストーーーーッブ!!それ以上ケンカはダメだ!!」


 「「刹那!」」


 ティエリアとリジェネの醜い貶し合いに、とうとう耐えらなくなった刹那は、双子の間に入り仲裁をした


 すると先程のケンカが嘘のように収まり、双子は刹那を見つめる


 「二人とも兄弟なんだからケンカはダメだ!そりゃあ二人きりになりたいって言う気持ちは分かるけど…ケンカはダメ!」


 「「……すまない」」


 刹那の説教にしょぼんとうなだれ反省する双子


 刹那は双子の反省する姿に説教を早々に切り上げてある提案をした


 「二人とも独占をしたいのは分かるが、少しはお互い譲り合え。なんなら日を決めて二人きりになるようにすればいい」


 「「日を決めて?」」


 「ん〜例えば休日は交互に二人きりになる様にするとか…たまに三人で遊ぶのを混ぜるとか、色々あるだろう?二人いる以上、片方が独占し続けるのは狡いだろうし」


 刹那は必死になって、双子がケンカをしない方法を考えて提案してくる 


 そんな刹那を見て、双子は今までの己の行為が恥ずかく思えてきた


 「ふっ…分かったよ。これからは刹那の方法で、刹那を独占させてもらうよ」


 「思えば二人いる以上、常に刹那と二人きりなんて無理な話だ。1日位なら我慢してやる」


 「リジェネ…ティエリア…」


 ティエリアとリジェネが、自分の提案を受け入れてくれた事に安堵する刹那


 そして次の瞬間には、両頬に双子からのキスが降ってきた


 「ん…なんか恥ずかしい」


 「やっぱり、刹那は可愛い」


 「明日は三人で出かけよう。次はリジェネが刹那と二人きりになればいい」


 「おや?珍しい事言うね、ティエリア」


 「ふっ…だがその次の休日は俺が独占させてもらうよ」


 「はいはい…そう言う約束だもんね」


 「じゃあ明日はみんなで遊びに行こう」




 こうして、双子の兄の不毛な争いは可愛い妹によって幕を閉じた 




 その後、三人はさらに仲が良くなり、刹那を狙う変態共は双子の見事なコンビネーションにより、次々と葬られ可愛い妹は更に溺愛されたらしい…




end











 The-Mirage-of-Deceitの霙様よりフリリクとして書いていただきました。


刹那を取りあう双子が可愛くてたまりません!


 霙様、本当にありがとうございました。