きっかけは、自分の半身の行動。

 新しくメンバーとなった少女を、親切心かそれ以外の感情か、なにかと世話を焼いたのだ。

 自分とは違って、アレルヤは基本穏やかな性格だ。そんなアレルヤにその少女・・・・刹那は、わりと早くなついた。

 ハレルヤはアレルヤの中から、それを見ていた。







その日、ハレルヤは展望スペースにいた。

 ひさしぶりに外に出てきたのだ。部屋の中でじっとしていたくない。今は明日から始まる武力介入のことで、他のメンバーは忙しいらしい。どうせ誰も来ないだろう。

 と、思っていたのに。

 「あ、いた」

 とことこと歩み寄ってくる刹那に、

 『ハレルヤっ!! ちょ、誰も来ないんじゃなかったの!?』

 騒ぎ立てるアレルヤに小声で「うるさい!! 俺だって間違えることくらいあんだよ」と黙らせ、すぐにアレルヤのまねをして刹那に笑いかける。

 「やあ、刹那。どうしたの?」

 刹那はじぃーとハレルヤを見つめると、きょとんとした顔になった。

 「アンタ、誰?」

 (・・・・!?)

 「え、刹那。なんのこと?」

顔では分からない、という表情を作ったハレルヤだが、内心ではものすごく動揺していた。

 『ハレルヤっ!! 刹那にばれたんじゃないの、コレ!? どーすんだよっ!!』

 パニくって騒ぎまくるアレルヤは無視。

 (・・・・このチビガキ、まさか俺とアレルヤの見分けがつくのか)

 「アンタ、アレルヤじゃないだろ? 誰?」

 もう完全にばれている。こうなったら・・・・・・ハレルヤは開き直ることにした。

 「そーだけど・・・・なんで分かった?」

 「全然違う。アンタ、誰? なんでアレルヤと同じ顔してるんだ?」

 「ハレルヤ、だ。身体はアレルヤだけどな。二重人格っつーやつだ」

「ふーん」

 予想外の反応にハレルヤは戸惑う。なんか・・・・もっと、こう・・・怖がるとか気味悪がるとか、そーゆー反応はしないのだろうか。

 「ったく、なんでアレルヤはこんなのがいーんだか」

 『ハレルヤっ!! 何言ってんの!?』

 「だってまだ16だろ? あーでもそんな問題でもねぇか」

 『ハハハハハハハハハレルヤ!!!!』

 慌てふためくアレルヤをからかっていると、刹那がじぃーと見つめていた。

 「ソコにアレルヤはいるのか?」

 「あー、なんなら代わってやろうか?」

 「別にいい」

 『せ、刹那〜』

 (・・・・意外と面白いかもしれない)

 そう考えを改めていると、刹那がハレルヤに手を差し出した。

 「・・・なんだ?」

 「初めまして、と思ったから」

 どうやら握手をするつもりらしい。訳のわからない行動に、ハレルヤはポカーンとした。

 「だって、初めまして、だろ? ハレルヤとは。ロックオンが初めましての人にはこーするんだって」

 ハレルヤは、アレルヤと区別されたのは初めてだ。否、誰かに認識されたこと事態初めてなのかもしれない。

 (・・・・変なガキ)

 「ハレルヤ?」

 中々手を差し出さないハレルヤをいぶかしんで、刹那が首を傾げる。

 「はいはい、ほら、これでいいんだろ?」

 投げやりに手を差し出して、乱暴に握手をする。それでも、刹那は満足そうだ。

 「これからよろしく」

 「・・・・よろしくな」











 なんとなく交わした言葉。

 たぶんそれが始まりで。

 これから芽生える感情の、最初の小さなきっかけ。